
AIや偽の救助ページを使うペット詐欺 ベトナムの警察が手口と確かめ方を注意喚起
ベトナムのラムドン省の警察は2026年10月13日、加工した写真や動画、AIを使って作り話を組み立て、迷子のペットの飼い主に「身代金」を求めたり、動物の救助団体を装って寄付を集めたりする手口に注意するよう、公式サイトで呼びかけました。(出典①)
警察は、迷子のペットを探そうと飼い主がSNSに載せた写真が悪用され、「保護している」という偽の連絡に使われるおそれがあるとしています。AIで作った画像は見た目では見分けにくくなっており、写真を信じる前に何を確かめるかが大切です。
この記事でわかること
- ・ベトナムの警察が注意を呼びかけた2つの手口
- ・写真や動画だけで信じないための確かめ方
- ・日本で迷子のペットを探すときや、お金を求められたときに連絡できる公的な窓口
迷子のペットを探す飼い主を狙う手口と、動物の救助を装う手口がある
警察は、動物への愛情や、ペットを見失った人の不安につけ込む手口として、2つの場面を挙げています。一部の者が偽のSNSのアカウントを作り、加工した写真や動画、AIを使って作り話を組み立て、送金や寄付、「身代金」を求めるおそれがあるといいます。
- ・迷子のペットを探す飼い主を狙う:飼い主の投稿からペットの写真を取り、加工した画像や偽の画像で、ペットが捕まっている、売りに出されている、危害を加えられるおそれがあると思わせます。そのうえで、拾った人や仲介役を名乗って連絡し、手付金や身代金、その他の費用をすぐに振り込むよう求めます
- ・動物の救助団体を装う:動物の救助団体や保護施設を名乗りながら、団体の確かな情報や住所、実際の活動を示せないページやグループです。ほかから写した写真や動画、救助の話をAIで加工したり新しく作ったりして、治療費や餌代、運ぶ費用、動物の「救出」の費用などの支援を求めます
警察は、振り込みを何度も急がせることや、支払いが遅れるとペットに危害を加える・売ると脅すことを、特に気をつけるべきサインとしています。なお、この注意喚起は手口を「〜するおそれがある」という形で説明したもので、省内で起きた件数や被害額は示していません。
10月14日には、ザライ省の警察のサイトにも、同省のイアナンという地域の警察の名前で、ほぼ同じ文章が載りました。(出典②)ラムドン省の警察の注意喚起は、ベトナムの政府系サイトVietnam.vnが日本語に訳して転載しています。訳には原文と細部の異なるところがあるため、この記事はベトナム語の原文をもとに書いています。(出典③)
AIで作った画像は、見た目だけでは見分けにくい
警察は、AIで作ったり加工したりした画像には、物の形がゆがむ、つくりが不自然になる、一部がぼやける、細かいところのつじつまが合わないといった跡が出ることがあるとしています。ただし、こうした跡はあくまで目安で、目で見て気づくことはますます難しくなっているといいます。
そのため警察は、写真や動画が1つ届いただけで、相手が本当に自分のペットを預かっていると判断しないよう求めています。代わりに勧めているのが、次の3つの確かめ方です。
- ・その場でビデオ通話をしてもらう
- ・こちらが具体的に指定した新しい写真を送ってもらう
- ・安全な場所で直接会って確かめる
寄付や送金の前に、相手が実在するかを確かめる
救助や寄付の呼びかけについて、警察は、団体の名前や住所、連絡先、これまでの活動、公式の情報発信の手段を確かめるよう求めています。画像検索のツールを使い、写真がほかのサイトから写されたものでないかを調べる方法も挙げています。
慎重になったほうがよいサインとして、警察は次の4つを挙げています。
- ・個人の口座への振り込みを求める
- ・急いで振り込むよう何度もせかす
- ・身元を確かめる情報を出さない
- ・ビデオ通話や直接会うことを避ける
また、「寄付の確認」「ペットの引き取り」「返金」などを口実に、見慣れないリンクを開かせたり、ワンタイムパスワード(1回だけ使える確認用の番号)や銀行のパスワード、個人の情報を聞き出したりする手口にも注意を呼びかけています。
身代金を求められたときは、互いに独立した複数の方法で事実を確かめ、写真やネット上の脅しだけを理由に振り込まないよう求めています。怪しいアカウントや出来事に気づいたら、メッセージや画像、口座番号、電話番号などを残し、すぐに近くの警察に届け出るよう呼びかけています。
日本で迷子のペットを探すときは、自治体と警察にも連絡する
日本でも、迷子のペットを探すときに頼れる公的な窓口があります。たとえば神奈川県の鎌倉保健福祉事務所は、飼い犬や飼い猫がいなくなったら、県の動物愛護センターと最寄りの警察署に情報が無いか連絡するよう案内しています。(出典④)
同じ案内によると、迷子の犬や猫には遺失物法が適用されます。保護した人は原則として飼い主に返し、飼い主がわからないときは、落とし物と同じように速やかに最寄りの警察署に届け出るよう求められています。窓口は自治体ごとに決まっているため、住んでいる地域の案内を確かめておきましょう。
お金を求められて不安なときは、警察相談専用電話「#9110」に相談できます。警察庁の案内(2026年10月16日に確認)によると、#9110は、かけた場所を受け持つ都道府県警察本部などの総合窓口に直接つながる番号で、携帯電話からもかけられます。ただし、ダイヤル回線と一部のIP電話からはつながらないため、その場合は各都道府県警察の相談窓口の番号にかけます。土日祝日や夜間は、当直や音声案内などによる対応になります。(出典⑤)
まとめ
ラムドン省の警察が注意を呼びかけたのは、加工した写真や偽の画像で迷子のペットの飼い主に身代金を求める手口と、AIで加工した写真などを使い、動物の救助団体を装って寄付を集める手口です。AIで作った画像の跡は目安にとどまり、目で見て見分けることは難しくなっているとしています。
ペットの写真が届いても、それだけを理由に振り込まないようにしましょう。ビデオ通話や指定した新しい写真で確かめ、寄付の前には団体が実在するかを調べます。日本では自治体の窓口と警察にも問い合わせ、お金を求められて不安なときは#9110に相談できます。
出典
- Cảnh giác thủ đoạn dùng công nghệ AI và giả mạo trang cứu hộ thú cưng để lừa đảo tiền|① ラムドン省警察
- Cảnh giác thủ đoạn dùng công nghệ AI và giả mạo trang web cứu hộ thú cưng để lừa đảo tiền|② ザライ省警察
- AI技術や偽のペット救助ウェブサイトを利用して人々から金銭をだまし取る詐欺にご注意ください。|③ Vietnam.vn
- 迷子になったとき、保護した(拾った)とき|④ 神奈川県
- 警察相談専用電話『#9110』|⑤ 警察庁
この記事を書いた人
Fact Check Lab編集部
世の中で話題になっている情報のみならず、生成AIの精度やハルシネーションの検証・分析を行う編集部。誤情報は、意図的な嘘だけでなく、事実の一部が伝わる過程で欠け落ちたり、文脈から切り離されたりすることでも生まれる。だからこそ、疑うことよりも確かめることを大切にする。不偏不党の精神で発信元をたどり、一次情報にあたる。



