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医師監修とは|依頼できる範囲・費用の確かめ方・監修者の探し方

医師監修とは|依頼できる範囲・費用の確かめ方・監修者の探し方

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「この記事、医師監修を付けておいたほうがいいですよね」——健康や医療の記事を作っていると、公開前にこの一言が出ます。

ところが、いざ頼もうとすると、費用も、探し方も、何をどこまでお願いするのかも決まっていません。そのまま日が過ぎ、監修を入れないまま公開される記事も出てきます。

医師監修とは、健康や医療を扱う記事の医学的な内容を、医師が専門の立場から確認することです。ただし、医師に見てもらうだけでは足りません。誰がいつ確認したのかを記事に書かなければ、読者には監修のない記事と同じに見えます。

この記事では、医師監修で頼める範囲と依頼前の注意点、費用の確かめ方、監修者の探し方、失礼にならない依頼メールの書き方までを順に解説します。読み終えるころには、どの医師に何をどう頼むかを、自分で決められるようになるはずです。

この記事でわかること

  • ・依頼のときに決める2つと、校閲・薬機法チェックとの違い
  • ・医師に依頼する前に確かめたい5つの注意点
  • ・見積もりで聞く3つと、監修者の頼み先3つ
  • ・依頼メールに書く4点と文例、監修日の入れ方

依頼のときに決めるのは、記事に載せる名前と、見てもらう範囲

医師監修を読者に伝えるために、依頼の段階で2つ決めておきます。記事に載せる名前と、見てもらう範囲です。

氏名や所属を記事に載せてよいかは、本人の意向で決まります。原稿を見てもらうことと、プロフィールを公開することは別の話なので、依頼のときに両方について合意を取ります。そのとき、氏名・所属先・専門分野・経歴のうち、どこまで載せてよいかまで確かめておくと、公開の直前に表記を直す手間が出ません。

見てもらう範囲は、依頼文で具体的に伝えます。たとえば「本文全体と図の説明文を確認いただき、氏名・所属・専門分野を監修者欄に掲載したいと考えています」と書けば、依頼する作業と掲載の希望が一度に伝わります。本文の一部だけを依頼する場合は、確認してほしい箇所を見出し名で指定し、記事で監修者を紹介するときにも担当した箇所を添えると、読者に確認の範囲が伝わります。

医師監修・校閲・薬機法チェックは、見る対象が違う

「どこまで見たか」を記事に書くには、何を頼んだのかを自分で分かっている必要があります。医師監修と混同されやすい作業に、校閲と薬機法チェックがあり、3つの違いは以下のとおりです。

作業誰が何を見るか分かること
医師監修医師が、病気・治療・数字の医学的な正しさを見る書いてある内容が医学的に正しいか
校閲校閲者が、事実関係・表記の統一・数字の整合を見る書いてある内容が資料と合っているか
薬機法チェック薬事の担当者が、医薬品・化粧品・健康食品の広告表現を見るその表現を広告に使えるか

たとえば「この成分は花粉症に効きます」という一文があったとします。校閲者は「参考にした資料にそう書いてあるか」を確かめ、薬事の担当者は「広告としてこの言い切りを使えるか」を見ます。その成分が実際に効くのかどうかを判断するのが、医師です。

3つをまとめて「チェックをお願いします」と発注すると、どこまで見てもらったのかを記事に書けなくなります。会社ごとに想定する作業も違うため、見積もりの金額も比べられません。

医師に監修を依頼する際の注意点

医師免許があることと、記事の監修者として機能することは別なので、依頼の前に5つを確かめます。

専門領域が記事のテーマに合うかを確かめる

医師だからといって、医療の情報をなんでも任せられるわけではありません。記事のテーマと医師の専門分野が離れている場合は、どこまで判断できるかを先に確認します。皮膚の記事を内科の医師に依頼すると、医師は自分の診療経験を超える部分について判断を避けることになり、返ってくる指摘も浅くなります。専門性と記事のテーマがずれていると、GoogleやAIに拾われにくくなるおそれもあります。

記事のテーマと診療科の組み合わせは、以下のとおりです。

記事のテーマ対応する診療科の例
肌荒れ、ニキビ、脱毛皮膚科、美容皮膚科
生理、妊娠、更年期産婦人科
睡眠、ストレス、気分の落ち込み精神科、心療内科
生活習慣病、健康診断の数値内科、糖尿病内科
子どもの発熱、予防接種小児科
歯や口のケア歯科(監修は歯科医師)

複数の診療科にまたがる記事なら、章ごとに担当を分けるか、頼む範囲を絞ります。

確認の中身を見極める

医師と聞くと、知識をもとに内容を正してくれる姿を思い浮かべますが、そうならない場合もあります。無料で医師監修を付けられる仕組みもあり、名前を貸すだけで中身をほとんど見ていない例もあります。多忙な医師に、無料や著しく安い報酬で丁寧な確認を求めること自体に無理があります。依頼の前に、過去に監修した記事や、指摘をどのような形で返してもらえるかを確かめておくと、名前だけの監修を避けやすくなります。

また、学会や論文に載っていれば正しい、とは限りません。出典の信頼性を見極めるには、医師であっても、資料を読み解くための別の訓練が要ります。見極め方は一次情報とは? 信頼できる出典の見極め方をプロ校閲者が徹底解説で整理しています。

コミュニケーションコストを見込む

医療の現場と企業とでは、連絡の取り方や返信の速さの感覚が異なることがあります。メールでのやりとりが進みにくかったり、返却の期日が守られなかったりすることも起こります。関係のできていない医師と直接やりとりする場合は、こうした行き違いが進行上のリスクになります。医療の現場の時間の使い方に慣れていない担当者が窓口に立つと、督促の一言が関係を切ってしまうこともあるため、連絡の手段と窓口を最初に決め、返却の期日には余裕を持たせておきます。

E-E-A-Tとの親和性を確かめる

SEOやAIO(AI検索への対応)を目的に医師監修を付ける例は多いものの、成果に結びつかないこともあります。理由の多くは、その医師の知識や経歴そのものではなく、Web上での実績が乏しく、GoogleやAIから権威のある人物として認識されにくい点にあります。E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の面で監修の効果を得るには、監修者が何者なのかを、読者や検索エンジンがWeb上でたどれることが前提です。この見極めはマーケティングの成否を分けますが、発注の段階では見落とされがちです。依頼の前に候補の医師の氏名で検索し、所属先のプロフィールや論文・執筆・監修の実績がWeb上で確認できるかを見ておきます。

薬機法の確認は別に頼む

医師なら薬機法を理解している、と考えられがちですが、診療に必要な範囲の知識にとどまる場合があり、広告規制の細部まで正確に把握している医師は多くはありません。薬機法の確認は、広告表現を専門に扱う相手へ、監修とは分けて依頼してください。どこまで書けるかの線引きは「リカバリー」はどこまで許されるのか|薬機法・景品表示法の境界線を見極める校閲者の役割で、実際の商品表現をもとに整理しています。

監修料は、氏名の掲載・見てもらう範囲・修正回数とあわせて確かめる

医師監修の料金は、公開している会社と、問い合わせてはじめて分かる会社に分かれます。料金の出し方も、1記事あたりの定額、商品紹介の有無などの条件で変わる形、案件ごとの見積もりとさまざまです。

見積もりを取るときは、金額と一緒に3つを聞きます。どれも「誰が、どこまで見たか」を記事に書けるかどうかに関わります。

  • ・監修者の氏名を記事に出せるか
  • ・見てもらう範囲はどこまでか(本文全体か、医学の記述がある章だけか、図の説明文を含むか)
  • ・修正は何回まで料金に含まれるか

この3つをそろえずに集めた金額は、並べても比べられません。税込みか税別かといった表記も会社ごとに違うため、あわせて確認しておきます。

監修者の頼み先は3つあり、確かめることが違う

医師監修の頼み先は、監修者を紹介する会社、監修まで請け負う編集会社、個人の医師への直接依頼の3つに分かれます。どの頼み先を選んでも、名前を出せるかどうかは自分で確かめることになります。3つの違いは以下のとおりです。

頼み先自社に残る作業名前について確かめること
監修者を紹介する会社原稿を整える、進行を管理する紹介された医師が実名の公開に応じるか、経歴のページを用意できるか
監修まで請け負う編集会社原稿を確認して受け取る記事に出す名前が個人になるか、会社名の監修になるか
個人の医師へ直接依頼専門分野の確認、契約、支払い所属先の規定で公開が制限されていないか

監修者を紹介する会社は候補が多い代わりに、原稿を整える作業が自社に残ります。編集会社はそこまで任せられる代わりに、1本あたりの単価が上がります。また編集会社では、記事の表記が「〇〇編集部 監修」になる場合があります。その場合、読者は誰が見たのかを確かめられないため、医師個人の名前を出せるかを契約の前に確認します。

個人の医師に直接頼む場合は、編集担当が自分で確かめることが増えます。医師免許があるかだけでなく、記事のテーマに合う診療科で診療しているか、学会に所属しているか、書いた記事があるかまで確認します。医師免許の有無は、厚生労働省の「医師等資格確認検索」で、氏名と性別から確かめられます(2年に1度の届出をしていない医師は表示されません)。公開前の原稿を渡すので、秘密保持の取り決めも先に交わします。

「〇〇専門医」と書けるかどうかは、公表された一覧で確かめられる

監修医師の肩書きを記事に出すとき、資格名をそのまま書いてよいのかで迷うことがあります。手がかりになるのが、厚生労働省が一覧にして公表している医療に関する広告が可能な専門性の資格名です。

職種資格名の数団体の数
医師5658
歯科医師55
薬剤師22
看護師271
合計9066

(厚生労働省「医療に関する広告が可能となった医師等の専門性に関する資格名(厚生労働大臣に届出がなされた団体の認定するもの)等について」令和5年2月17日。2026年9月10日に取得)

医師の一覧は59行ありますが、資格名で数えると56です。心臓血管外科専門医を3団体、呼吸器外科専門医を2団体が認定しているためです。

令和3年10月1日からは、医師と歯科医師について、日本専門医機構と日本歯科専門医機構による専門医の認定を受けた旨も広告できるようになりました。同時に、届出団体が認定する資格名は広告できる事項から外れましたが、それ以前に届出があった資格名は、一定の場合を除き当分の間広告できる経過措置が設けられています。機構が認定する資格名は、この一覧ではなく医療広告等ガイドラインに載っています。

書き方にも決まりがあります。医療広告等ガイドラインは「〇〇学会認定〇〇専門医」のように認定した団体を明記する形を示しており、単に「〇〇専門医」とだけ書く表記は、誤解を与えるものとして誇大広告の扱いになるとしています。

ただし、この一覧もガイドラインも、医療広告の規制の話です。記事に監修者の肩書きを載せる行為が医療広告に当たるかどうかは、これらの資料だけでは決まりません。肩書きを正しく書くための手がかりとして使ってください。

依頼メールに書くのは、原稿・範囲・報酬・締切の4点

行き違いが起きるのは、範囲と締切の書き方があいまいなときです。依頼メールに書く4点は、以下のとおりです。

書く項目具体的に書く内容
原稿文字数、URLまたは添付ファイル、想定読者、公開する媒体
監修範囲本文全体か特定の章か、図の説明文を含むか、参考文献の確認まで頼むか
報酬金額、税の扱い、支払い時期、修正が出たときの追加費用
締切返却の期日と、監修後に書き足したときの再確認の可否

医療の記事では、これに氏名の公開可否を足します。打診の文面は、次の形が目安です。

文例 初回の打診

〇〇先生

はじめてご連絡いたします。〇〇株式会社でメディア「〇〇」を運営しております、〇〇と申します。

〇〇に関心のある30代から50代の読者に向けて、月に〇本の記事を公開しております。

このたび「〇〇〇〇」という記事について、先生のご専門の立場から内容をご確認いただけないかと考え、ご連絡いたしました。

記事は約〇〇〇〇字で、ご確認をお願いしたいのは「〇〇」と「〇〇」の2つの見出し、およそ〇〇〇字分です。

医学的な記述の誤りと、読者への注意喚起の抜けをご指摘いただければ十分です。文章表現の手直しは編集部で行います。

報酬は〇万円(税込・源泉徴収前)、原稿のお渡しは〇月〇日、ご返却の期限は〇月〇日を希望しております。

ご多忙のところ恐縮ですが、期日のご都合が合わない場合は、可能な時期をお知らせいただけますと幸いです。

公開時には、監修日とあわせて「監修:〇〇先生(〇〇学会認定〇〇専門医)」とお名前と資格を表示し、先生のプロフィールページへリンクいたします。

表示の可否と、記載する肩書きのご希望をお聞かせください。

原稿の全文と媒体資料を添付いたします。

ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

この文面には、上の4点それぞれに、医師に配慮した書き方を入れてあります。

原稿と範囲については、見てほしい箇所を見出しと字数で区切り、文章表現の手直しは編集部で引き取ると明示しています。医師の時間を、医学的な判断だけに使ってもらうためです。

報酬については、金額だけでなく税の扱いまで書いています。引き受けるかどうかを、問い合わせを挟まずにその場で判断できるようにするためです。

締切については、期日が合わない場合に可能な時期を尋ねています。断りではなく調整の余地を残すことで、本業の合間に引き受けられるかを医師の側で決められます。

医療の記事で足す氏名の公開可否は、こちらで決めずに希望を聞いています。所属先の規程で掲載を制限している場合もあるため、断りづらい状況を作らずに、本人の意向を確かめるためです。

監修のあとに足した1行は、確認の範囲から外れる

監修が終わったあとに文章を足したら、足した部分だけをもう一度見てもらいます。医師が確認したのは、あくまで見た時点の原稿だからです。

たとえば公開の直前に、編集者が見出しを「効果があります」と言い切りに直したとします。本文が「効果が報告されています」のままでも、見出しだけが強くなり、医師が見ていない表現が記事に入ります。見落としやすいのは、本文よりも見出し・図の説明文・リード文の3つです。

1行足したときは、その1行だけを抜き出して「この書き方で大丈夫ですか」と送ります。原稿全体を読み直してもらうより、相手の手間もかかりません。

監修日を入れると、いつ時点の内容かが分かる

名前と並べて入れたいのが、監修した日付です。記事は公開後に何度も直します。料金表を更新し、法改正に合わせて条文を書き替え、古くなった数字を差し替えるたびに、監修を受けた時点の原稿からは離れていきます。

日付が入っていれば、読者はいつ時点の内容を医師が見たのかを判断できます。日付がなければ、3年前に一度見てもらったきりの記事も、先月見てもらった記事も、同じ「医師監修」に見えます。料金や制度の記述を大きく書き替えたときは、その部分を監修者に見てもらい、日付を更新します。

よくある質問(FAQ)

Q1.医師監修の費用は、1記事あたりどのくらいですか。

公開されている相場の一例として、クラウドソーシング大手の1社は、医師による記事監修を1記事あたり3万〜5万円程度としています(2024年12月更新)。実際の金額は、見てもらう範囲や氏名・顔写真の掲載条件、修正の回数で変わるため、見積もりで聞く3つをそろえたうえで比べてください。

Q2.医師監修を付けないと、検索で不利になりますか。

Googleの公式ドキュメント「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」には、監修者を立てることそのものを求める記述はありません。自己評価の問いとして挙げられているのは、誰がコンテンツを作成したのかが読者に明確か、といった点です。健康や医療の記事では、医師に確認してもらったうえで、監修者の名前と経歴、監修日を示しておくことが、読者にとっての判断材料になります。

Q3.監修者から、氏名は出せないと言われたらどうすればよいですか。

氏名を出さないまま「医師監修」と書いても、読者は誰が確認したのかをたどれません。その場合は無理に掲載をお願いせず、氏名を出せる別の医師を探すか、記事には監修と表示せず、社内の確認として内容を見てもらうだけにとどめるかを決めます。最初の打診で掲載の可否を聞いておけば、公開の直前に慌てずに済みます。

まとめ

医師監修という言葉は、読者にとって「専門家が見た記事」という目印です。ところが、監修を受けていても、その目印が記事に出ていなければ、読者からは監修のない記事と区別がつきません。確認は済んでいるのに、確認したことだけが伝わっていない状態です。

この差を埋めるのは難しくありません。依頼のときに氏名の掲載可否を聞き、公開のときに名前と監修日を入れるだけです。

むしろ手間がかかるのは、その前の工程です。記事のテーマに合う診療科の医師を探し、見てほしい範囲を決め、相手の時間を尊重した形で声をかける。ここを丁寧に進めた記事ほど返ってくる指摘の中身が変わり、医師の名前と監修日が並んだとき、読者は何を根拠に読めばよいのかを判断できるようになります。

監修者探しや依頼のやりとりを社内だけで進めるのが難しい場合は、記事監修サービスなど、外部の力を借りるのも一つの方法です。

Fact Check Lab編集部

この記事を書いた人

Fact Check Lab編集部

世の中で話題になっている情報のみならず、生成AIの精度やハルシネーションの検証・分析を行う編集部。誤情報は、意図的な嘘だけでなく、事実の一部が伝わる過程で欠け落ちたり、文脈から切り離されたりすることでも生まれる。だからこそ、疑うことよりも確かめることを大切にする。不偏不党の精神で発信元をたどり、一次情報にあたる。

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