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AIライティングツール5社に同じ見出しで書かせたら、5社とも事実を間違えた【比較検証】

AIライティングツール5社に同じ見出しで書かせたら、5社とも事実を間違えた【比較検証】

2026,08.21

AI検証生成AIハルシネーションAIライティングツール
Fact Check Lab編集部

Fact Check Lab編集部

世の中で話題になっている情報のみならず、生成AIの精度やハルシネーションの検証・分析を行う編集部。誤情報は、意図的な嘘だけでなく、事実の一部が伝わる過程で欠け落ちたり、文脈から切り離されたりすることでも生まれる。だからこそ、疑うことよりも確かめることを大切にする。不偏不党の精神で発信元をたどり、一次情報にあたる。

何を、どう測ったか

測定の条件をまとめます。

項目内容
対象ツールSAKUBUN、EmmaTools、Transcope、ラクリン、Catchy の5つ
実施期間2026年8月4日から6日
題材育児休業給付金
入力同じ見出し2本のみ(追加の指示なし)
見出しの作り方編集部ではなく、ツールの一つに生成させたものを5社で共通に使用
設定各社の初期値のまま(※変更した箇所は次の表のとおり)
生成の回数各社1回ずつ。繰り返しの測定はなし
得られた原稿5社で9本。見出し2本に対して4社が各2本、EmmaToolsは見出し1本から記事全体(見出し9本ぶん)が生成されたため1本。SAKUBUNの2本は、他社と条件を揃えるため外部を参照しない「ブログ一発生成」で取得
判定の当て先厚生労働省のパンフレット「育児休業等給付の内容と支給申請手続」と公式Q&A
判定のしかた原稿から数値・固有名詞・日付を抜き出し、全件を一次情報に照合

調べた10社のうち上位5社が、10社分の指名検索の8割を占めます。導入を検討される方の目に触れる可能性が高いので、知名度で選びました。

指名検索数はラッコキーワードで2026年8月4日に取得したものです。調べた10社は、SAKUBUN(720)、EmmaTools(320)、Transcope(260)、ラクリン(170)、Catchy(140)、bringritera(140)、deepeditor(90)、Value AI Writer(70)、BLOGAI(70)、unicopi(30)です。上位5社の合計1,610は、10社の合計2,010の80.1パーセントにあたります。あわせて、比較記事4本への掲載率も選定に使いました。なお、Catchyは「catchy ai」という語で測っています。「catchy」単体は英単語のため測定できず、実際の指名検索数より低く出ている可能性があります。

題材には「育児休業給付金」を選んでいます。数値と要件と期限が絡み、しかもすべて公的資料で判断がつきやすいからです。

意見や相場観が中心のテーマでは、そもそも正誤を判定できません。制度が近年たびたび改正されている点も、選んだ理由の一つです。

誤りの出やすい構成を選んだ、という疑いを避けるため、見出しは編集部が作っていません。判定は一次情報だけで行い、比較記事や解説ブログは根拠から外しました。迷った箇所は、改正前後の資料を両方確認しています。

入力欄の作りが各社で違うので、条件を完全には揃えられませんでした。

ツール揃えられなかった条件
Transcope希望文字数の初期値が200字。そのままでは事実がほとんど出ないため1,000字に変更
Catchyタイトルと導入文の入力が必須。見出しと同じ文字列を入力
EmmaToolsキーワードとタイトルを別々に指定する作り。本文を書かせるには依頼の設定が必要
ラクリン見出しにHTMLタグを付けることが必須
SAKUBUN見出しを一つ渡すと導入文しか出ないため、構成を補って入力
ラクリンの本文入力画面。見出し欄に「見出しを『10個以下』で入力してください(<h></h>や###をつけて入力ください)」と必須の表示が出ている
Catchyの入力画面。「記事のタイトルと導入文」欄と「記事の見出し」欄の両方に、同じ「育児休業給付金の対象となる人の条件」が入力されている

同じ条件で比べること自体が簡単ではありません。これも測って分かったことです。

今回の5社のうち、公式サイトでファクトチェック機能を掲げているのはEmmaToolsだけです(景品表示法と薬機法のチェック機能も併記されています)。他社に同等の機能がないため、今回の測定ではこの機能を使っていません。

5社すべてで、事実の誤りが見つかった

結論から言うと、5社すべての原稿に、一次情報と食い違う記述がありました。

出力される分量に4倍から6倍の開きがあるので、各社の誤りの件数は並べません。

Transcopeが見出し1本分として857字を返すのに対し、EmmaToolsは見出しを渡すと記事をまるごと、約6,000字にわたって書き上げます。検証の対象になる主張の数がそもそも違うので、件数を並べれば分量の差が精度の差に見えてしまいます。

「社会保険事務所」という名称が、TranscopeとSAKUBUNの原稿に出てきました。この組織は2010年1月1日、日本年金機構の設立にともなって年金事務所に置き換わっています。日本年金機構自身の資料にも、年金事務所は旧社会保険事務所の庁舎をそのまま使っていると記されています。16年以上前になくなった窓口の名前です。

図1。誤りを3つの型に整理した図。「なくなったものをまだ書く」が5社中3社、「新しくできたものを書かない」が5社9本すべて、「隣の制度の要素が混ざる」が5社中4社

図1:誤りは3つの型に整理できた。なくなったものを書く型はTranscope・SAKUBUN・EmmaToolsの3社で、新しくできた制度に触れていないものは5社9本すべてに共通していた。

間違いは「制度が動いたところ」に集中していた

誤りを並べてみると、制度が変わった場所に、きれいに集中しています。しかも、ずれ方は二つに分かれます。

一つめは、なくなったものを、まだ生きているように書くずれです。社会保険事務所がこれにあたります。

EmmaToolsは「パパ休暇」という制度を見出しに立てて解説していました。この名称の制度は、2022年10月の法改正でなくなっています。厚生労働省が改正内容をまとめたQ&Aにも、パパ休暇は改正に伴いなくなり、出生時育児休業と育児休業の分割取得に見直されると明記されています。

EmmaToolsが生成した原稿。見出し「7. 男性の育児休業給付金(パパ休暇)」が赤枠で囲まれている

しかもEmmaToolsは、そのパパ休暇について「取得条件や給付内容は会社の規定による」とも書いていました。パパ休暇は法律上の制度であって、会社が決めるものではありません。なくなった制度の名前を出したうえで、性質まで取り違えています。

二つめは、新しくできたものを書かないずれです。2025年4月に出生後休業支援給付金という制度が始まりました。夫婦がそれぞれ14日以上の育児休業を取得するなどの条件を満たすと、給付率に13%が上乗せされて8割になります。

この8割に、育児休業給付金が非課税であることと、休業中は社会保険料が免除されることが加わります。厚生労働省はこの状態を「手取り10割相当」と説明しています。ただし上乗せを受けられるのは最長28日間です。当事者にとっては非常に大きな制度です。

この制度に触れた原稿は、5社9本のうち一本もありませんでした。EmmaToolsにいたっては「育児休業給付金には主に2つの種類があります」として2つを挙げていましたが、厚生労働省は育児休業等給付を4つとしており、その中に出生後休業支援給付金が入っています。

原稿の中では、古い制度が消えずに残り、新しい制度は現れません。「最新情報」を掲げた記事でこれが起きると、読者が知りたい部分が外れます。

逆に、長く変わっていない部分については、どのツールもおおむね正確でした。給付率が67%から途中で50%に下がること、2年間に11日以上働いた月が12か月以上必要なこと。この種の記述で誤りはほとんど出ていません。

原稿単位で見れば、誤りが一つも出なかったものもあります。ラクリンが書いた支給額の計算方法と、SAKUBUNが検索上位を参照して書いた原稿がそれにあたります。

誤りが制度の動いた場所に集中するという結果は、校閲の実務にそのまま使えます。AIが書いた原稿を受け取ったら、直近1〜2年で変わった箇所と、廃止された名称を先に見ましょう。優先順位がはっきりします。

存在しない要件が、あるかのように書かれる

もう一つ、性質の違う誤りがありました。一次情報のどこにも書かれていない条件が、要件として登場するものです。

Catchyの原稿には、給付の対象が扶養家族の人数によって変わるという説明と、20歳未満や65歳以上には制限があるという説明が含まれていました。厚生労働省が示す支給要件は3つで、扶養家族の数も年齢も、そこには入っていません。

Catchyが生成した原稿。「3. 扶養家族数」と「4. 年齢制限」の2つの条件が赤枠で囲まれている

扶養家族の数で額が変わるのは児童手当、年齢で区分が分かれるのは失業給付です。近くにある別の制度の要素が、混ざり込んでいます。

Catchyの原稿にはほかにも、育児休業中は給与をまったく受け取らないことが条件だという記述や、雇用保険に加入していない人向けの特例があるという記述がありました。前者は誤りで、休業中に支払われた賃金が休業前の80%に達しなければ、給付は受けられます。後者にいたっては、そのような特例は存在しません。制度そのものが雇用保険の給付なので、加入していない人は対象になりようがありません。

さらに同じ誤りが、2本の原稿にまたがって出ました。1本目では「受給の要件」として扶養家族の数が登場し、2本目では「支給額の調整」として同じ要素が現れています。一度書かれた誤りが、別の見出しでも形を変えて出てくるので、一か所を直すだけでは済みません。

ラクリンの原稿には、受給の要件として「同一の事業主のもとで」という条件が、一つの原稿の中で5か所にわたって繰り返し書かれていました。厚生労働省が示す支給要件は3つで、そこに同一の事業主という限定はありません。転職していても、それぞれの期間を通算できる場合があります。

この限定は、育児休業を取る側の要件から来ていると考えられます。有期雇用で働く人が育児休業を申し出るには、かつて同じ事業主に1年以上雇われていることが必要でした。2022年4月の改正でこの制限はなくなり、労使協定で除外できる形に変わっています。取得の要件が、給付金の要件として書かれた形です。

条件を満たしているのに、自分は対象外だと読者が判断してしまう書き方です。しかも5か所で繰り返されているため、読み流しても印象に残ります。

Transcopeは、支給額の計算に「標準報酬月額」を使うと書いていました。これは社会保険料を計算するときの概念で、育児休業給付金の計算には使いません。使うのは休業開始時賃金日額です。

どちらも給与にまつわる用語で、実務では隣り合って登場します。人事や労務の担当者であれば違和感を持ちますが、この分野に詳しくない編集者が読んで気づける差ではありません。

EmmaToolsは、事業主が育児休業の手続きでハローワークに提出する書類として「雇用保険被保険者資格取得届」を挙げていました。これは従業員を採用したときに出す届出です。育児休業給付の手続きを説明した厚生労働省のパンフレットを全文検索しても、この書類名は一度も出てきません。正しくは「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」などが必要になります。

この型は、特に見抜きにくいものです。古い名称であれば、聞き覚えのある人が引っかかります。しかし存在しない要件は、書かれていること自体が自然に見えます。読者に疑うきっかけがありません。

検索して確かめようにも、存在しないものは「見つからない」という形でしか返ってきません。それが誤りの証拠なのか、自分の調べ方が悪いのか、判断がつかないという厄介さもあります。

数字と期限そのものが違っていた

制度名や要件とは別に、数字そのものが違っている例もありました。金額や期限の誤りは、実害が大きいものです。

EmmaToolsは、出生時育児休業給付金について「通常、休業開始から最長6ヶ月間受給することができ」と書いていました。実際の上限は28日です。この給付は子の出生後8週間以内に取得する休業に対するもので、支給日数の上限は4週間分と定められています。6か月と28日では、およそ6倍の開きがあります。

EmmaToolsが生成した原稿。「2つの種類があります」と「最長6ヶ月間」が赤枠で囲まれている

支給額の計算方法も違っていました。EmmaToolsは休業開始時賃金日額を「賃金総額を、賃金計算期間の日数で割って求めた1日あたりの金額」と説明していますが、正しくは休業前6か月間の賃金総額を180で割った額です。月ごとの日数で割るのと180で割るのとでは、出てくる金額が変わります。読者が自分で試算した場合、実際に振り込まれる額と合いません。

期限の誤りは、さらに深刻でした。EmmaToolsは初回の申請期限を「育休を取得した月の翌月から2か月以内」とし、「4月に育児休業を取得した場合、申請期限は6月末」という具体例まで添えています。正しくは、育児休業開始日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日までです。

4月に始めたのであれば8月末になります。この原稿のとおりに6月末で締め切ってしまえば、まだ2か月以上残っている期限を自分で早めることになります。2か月ごとの申請についても「支給希望月の前月末まで」と書かれていましたが、これも実際の規定とは違います。

Catchyは給付率を「70%」と書いていました。正しくは67%で、しかも一定期間を過ぎると50%に下がります。割合が違ううえに、段階が変わる仕組みそのものが落ちています。月収30万円で計算すれば、1か月あたり1万円近い差になります。

なお、同社だけが記事全体を生成したので、ここまでの例はEmmaToolsに偏っています。申請の手順や期限まで書く分、数字や期限に触れる箇所が他社より多く、そのぶん誤りも表に出やすくなります。見出し1本分しか書かないツールは、そもそもこれらの記述を持ちません。

この型が怖いのは、数字が具体的であるほど、正しく見えることです。「一定期間」と書かれていれば読者は自分で調べますが、「6月末」と書かれていれば、そのまま手帳に書き写すでしょう。

制度名の誤りは調べ直せば済みますが、期限の誤りは、気づいたときには過ぎているかもしれません。企業のコンテンツとして公開した場合、読者が不利益を被る可能性が高いのがこの型です。

同じツールでも、機能を変えると結果が変わった

今回とくに重要な発見は、製品と製品のあいだではなく、一つの製品の中にありました。

SAKUBUNには記事を作る機能が複数あります。同じ題材を、同じ入力で、二つの機能に書かせました。「AI記事作成」は検索上位の記事構造を取得してから書く機能、「ブログ一発生成」は取得せずに書く機能です。前者は見出しを決める段階で、検索1位から9位までの記事がどんな見出しを立てているかを画面に提示してきます。

SAKUBUNの「AI記事作成」画面。検索1位から9位までの記事の見出しが、9件そろって赤枠で表示されている

検索上位を参照する機能で書かせたときは、受給要件が正確に記載されました。2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上必要であること、11日に満たない場合は80時間で代替できること、失業給付の受給資格を得ると通算が切れること、有期雇用の場合の追加要件、賃金が80%以上支払われると支給されないこと。すべて書かれています。

同じ会社、同じ題材、同じ入力なのに、参照しない機能で書かせたときは、この5項目が丸ごと欠落しました。受給できるかどうかを判断する部分です。

これは製品の優劣ではありません。外部の情報を取りに行く工程があるかどうかの差です。同じAIでも検索できる環境かどうかで答えが変わることは、生成AIアプリとAPIで出力が違う理由──どちらの精度が高いのかを、同じ質問で測ってみたで、20問の実測とともにお伝えしました。今回は、その差が一つの製品の中に、機能名の違いとして存在していました。利用者から見れば、どちらも「SAKUBUNで書いた原稿」です。

自分がどちらを使っているかを意識している人は、多くありません。Transcopeにも「Google(検索結果を元に出力)」というモードがありますが、初期状態で選ばれているのは、参照しないほうのモードでした。

Transcopeの設定画面。参照先としてフリーテキストが選ばれ、「Google(検索結果を元に出力)」が赤枠で示されている

編集部の測定でも、他社と条件を揃えるため参照しないモードを使っています。その原稿からは社会保険事務所と標準報酬月額の2件が出ました。参照するモードで書かせていれば、結果は違っていた可能性があります。

つまり、ツールの精度を語るときには「どの製品か」だけでなく「どの機能で、どの設定で書かせたか」まで揃えないと、比較が成立しません。同じ製品名で語られている原稿が、実際には別の仕組みで書かれていることがあります。

図2。SAKUBUNの2つの機能に同じ題材を同じ入力で書かせた結果の比較。外部を参照する工程の有無で受給要件の記載が分かれた

図2:SAKUBUNの2つの機能に、同じ題材を同じ入力で書かせた結果。外部の情報を参照する工程の有無で、受給要件の記載が丸ごと分かれた。

正しいけれど、使えない書き方

誤りではないものの、実務では困る書き方も見つかりました。

「育児休業開始前の2年間に、賃金支払いの基礎となる日数が一定以上あること」「育児休業を取得している間に就労していない、もしくは就労時間が決められた範囲内であること」「休業開始前に比べて一定の範囲内であれば減額されずに受け取ることが可能である」。どれも間違ってはいません。しかし一次情報は、それぞれ具体的な数値で書いています。日数は2年間に11日以上ある月が12か月以上、就労時間は月10日以下または80時間以下、減額の線は休業開始前の80%以上が支払われると不支給です。

この書き方は事実確認の工程では拾えず、編集判断でしか直せません。誤りではないので、事実を当てていくだけの校閲は素通りします。そして読者は、自分が対象になるのかを判断できません。記事としての役目を果たしていないという点では、誤りより厄介かもしれません。

SAKUBUNが検索上位を参照して書いた原稿だけは、この逃げ方をしていませんでした。すべて具体的な数値で書かれています。上位記事が具体的に書いているからだと考えられますが、いずれにせよ、外部を参照した原稿のほうが読者にとって使える文章になっていました。

EmmaToolsの原稿では、同じ原稿の中で条件の書き方が食い違っていました。前半では就業日数の上限を「月10日以内」とだけ書き、後半では「月10日または80時間以内」と書いています。正しいのは後半で、前半は例外が抜けています。

外部の知識がなくても、受け取った情報を最初から最後まで一度読み通すだけで拾える食い違いです。

そもそも、読める文章になっていないものもあった

事実が合っているかどうか以前に、日本語として成立していない原稿がありました。

EmmaToolsが生成した記事の書き出しは、次のように始まっていました。

育児休業給付金は、育児休業給付金を利用する育児をしながら働く多くの人々にとって、育児休業給付金は非常に重要な制度です。

EmmaToolsが生成した記事の書き出し。「育児休業給付金は、育児休業給付金を利用する育児をしながら働く多くの人々にとって、育児休業給付金は非常に重要な制度です。」が赤枠で囲まれている

一文の中に主語が二つあり、日本語として成立していません。この導入部分336字のうち、「育児休業給付金」という語が14回出てきます。SEOのキーワードを本文に含める設計が、読める文章の限界を超えたところまで働いた結果だと考えられます。

品質の優劣の話ではありません。事実確認の前に、文章として直す工程が必要になる原稿があるということです。ファクトチェックは、文意が取れる文章に対してしか実施できません。何を主張しているのか分からない文には、正しいも間違いもありません。

他の4社では、この種の破綻は起きていませんでした。読みやすさと事実の正確さは別の軸です。片方が良くても、もう片方が保証されるわけではありません。今回でいえば、日本語として自然に読めた原稿にも事実の誤りは含まれていました。

この測定で分かっていないこと

確かめられていないことも、あわせて書いておきます。限界を曖昧にしたまま数字だけが独り歩きすると、かえって読者の判断を誤らせてしまいます。

確かめていないこと内容
回数各社とも同じ条件で1回ずつのみ
題材育児休業給付金という一つのテーマのみ
料金プランいずれも無料で利用できる範囲のみ
使わなかった機能EmmaToolsのファクトチェック機能をはじめ、通していない機能あり
原稿の段階編集者が手を入れる前の、生成された直後の状態

とくに一つめは、結果の読み方に直結します。AIの出力は同じ入力でも毎回変わるので、今回出た誤りが、次も同じように出るとは限りません。逆に、今回は出なかった誤りが別の回に出ることもあります。この記事の結果は「このツールは必ずこう間違える」ではなく「このような間違いが実際に起こりうる」として読んでいただくのが正確です。

題材にも同じ限界があります。制度が近年たびたび改正されている分野なので、「制度が動いたところで間違える」という結論が出やすい題材だった可能性があります。改正の少ない分野では、違う型の誤りが出るかもしれません。

料金プランについても同じです。有料プランでは使えるモデルや機能が変わる場合があり、今回の結果は各社の製品としての実力を測ったものではありません。

では、どう選び、どう使えばよいのか。3つのポイント

図3。5社9本の測定から言える3つのポイント。選ぶとき・使うとき・確かめるときに見る場所をまとめている

図3:5社9本の測定から言える3つのこと。選ぶときは外部の情報を参照する工程があるかを見る。使うときはどの機能で書かせたかを意識する。確かめるときは法改正のあった箇所、廃止された名称、直近1〜2年で新設された制度、そして数字と期限を先に見る。

一つめは、選ぶときに外部の情報を参照する工程があるかどうかを見ることです。使われているAIの名前ではありません。同じ題材で結果を分けたのは、そこでした。参照する仕組みを持っているか、持っているとしてどの機能で働くのか。ここが確認できれば、評価の土台ができます。

二つめは、使うときに機能の選択を意識することです。同じツールの中で参照する機能としない機能が分かれており、初期状態が参照しない側になっていることがあります。どの機能で書かせたかは、原稿の正確さに直結します。

入稿された原稿に「どのツールのどの機能で書いたか」を添えてもらうだけでも、確認の精度は変わります。外部のライターに依頼している場合はなおさらです。

三つめは、確認する箇所を先に決めておくことです。今回、間違いは制度が動いた場所に集中していました。法改正のあった箇所、廃止された名称、直近1〜2年で新設された制度。そして数字と期限。ここを先に見れば、限られた時間でも取りこぼしが減ります。

数値が「一定以上」と書かれていたら、具体的な値に置き換えておきましょう。何を一次情報とみなすかについては、一次情報とは? 信頼できる出典の見極め方をプロ校閲者が徹底解説で整理しています。

どのツールを選んでも、公開前の確認は必要です。今回測定した5社は、いずれも利用規約で、生成された文章の正確性を保証しないと明記しています。たとえばCatchyは、本サービスは文章作成の補助のために提供されるものであり、出力テキストは利用者が自己の責任において利用するものと定めたうえで、出力テキストの完全性、正確性、有用性を保証しないとしています。確認は利用者の仕事だと、作っている側が明示しているわけです。企業のコンテンツでどこを確かめるべきかについては、ファクトチェックとは?ベテラン記者が教える企業コンテンツで確認すべき5つの事実関係もあわせてお読みください。

測定の条件は本文冒頭の表のとおりです。補足すると、対象は SAKUBUN、EmmaTools、Transcope、ラクリン、Catchy の5サービスで、5社から9本の原稿を得ています。判定に使った一次情報は次の3点で、いずれも2026年8月6日に取得したものです。厚生労働省「育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版)」https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001461102.pdf /同「育児休業等給付について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135090_00001.html /同「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A」https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000860549.pdf 。社会保険事務所については、日本年金機構「日本年金機構について」(資料1-1、2010年3月19日)12ページ「年金事務所については、旧社会保険事務所庁舎をそのまま使用(所在地に変更なし)」によります。https://www.soumu.go.jp/main_content/000059999.pdf 。各社の利用規約は次のとおりで、いずれも2026年8月19日に取得したものです。SAKUBUN 第19条 https://sakubun.ai/terms /Catchy 第17条 https://ai-copywriter.jp/terms /EmmaTools 個人利用規約 第11条 https://emma.tools/terms_per/ /ラクリン https://rakurin.net/constitution /Transcope(シェアモル)https://sharemall.co.jp/terms 。

各ツールおよび制度の内容は随時更新されるため、現在は異なる結果となる可能性があります。

レビューのお願い:事実関係・表現・構成についてコメント機能でご指摘ください。

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